日本の奨学金制度の歴史と崩壊、そして再生へ Ideas Shape The Course of History

一言物申したい

日本の奨学金制度

こんにちは〜クラッシャーでっす!

月2で投稿しようと思ってたんですが、気づいたら前回の投稿から1ヶ月経ってて、慌ててこの記事を書いています。

今回は日本の奨学金制度について書きたいと思います。

僕は大学に進学するために奨学金を借りたので、借りた当事者として奨学金について色々と思うことがあり奨学金について今回少しだけ調べて見ました。

奨学金によって大学進学などができて人生が好転する人もいれば、逆に奨学金の返済ができずに生活苦になり奨学金によって苦しめられている人もいるので、奨学金を借りて大学などに進学することはある種ギャンブルであると言えますね。

返済できるかどうかはいくらお金を稼げるかなどのその人の能力や生まれた時代などの運にも拠りますし、個人的には奨学金制度自体にそもそも無理があるような気がしていますので、奨学金の歴史や問題点などをあげながらその辺りを考察して行きたいと思います。

というわけで、まず初めに現在の日本の奨学金制度がどのようにして生まれたのかを見て行きましょう!

 

奨学金の歴史

奨学金の歴史を調べるにあたり、奨学金アドバイザーの久米忠史さんのブログ国立情報学研究所のこちらの記事を参考にさせていただきましたので、そちらもぜひチェックして見てください!

日本の奨学金制度の成り立ちは昭和18年(1943年)の10月18日に財団法人日本育英会が創設されたところから始まります。

がっつり戦時中ですね。(でもそれがこの団体設立の大きな鍵となっていました。)

こちらの団体ができる以前から、奨学金制度については、帝国議会で永井柳太郎が学問機会の均等の理念高等教育の重要性に発展させた発言をしていたところなどからも、すでに長きに渡って議論されてきていたことがわかります。

大東亜共栄圏の建設を目指していた当時、将来を担う指導者の育成が課題でしたが、まだ高等教育に進む学生が少なかったこともあり、能力はあるけど貧しくて進学ができない学生に対して国家がそれを支援する体制を整えるために奨学金制度が必要だったということみたいです。(ちなみに、この対象となる学生は主に理系の学生が念頭に置かれていたみたいですね。)

そしてこの議論がさらに活発化したのは、教員の待遇問題があったからでした!
戦時下で軍需産業が伸びている中、教員が軍需産業に転職してしまうなど、教員の待遇が悪かったせいで教員不足になったことがきっかけです。
(これまさに今の日本でも起きている問題ですよね。歴史は繰り返される!)

大東亜共栄圏実現後の指導者を育てるための指導者がいなかったんですよね。。。

それにより教員の待遇改善のための議連が立ち上がって、その議連が中心となってさらに教育の機会の均等化のためにも奨学金制度を作ったほうがいいんじゃないかと、議論をさらに活発化させていったということみたいです。

この奨学金制度の議論の中で、給付制にするのか貸与制にするのかの議論はもちろんまず最初にされました。

そして、この制度の性格を決定するために議論されたものが主に以下の2つです。

1つは、少数のエリート学生を対象とする育英にするのか、それとも教育の機会均等の理念からより多くの学生を対象とする奨学とするのかというもの。

もう1つが、上記で記した返済義務のない給付制にするのか、返済義務のある貸与制にするのかというものです。

つまり奨学金制度のパターンとしては以下の4つの候補があったと考えられます。

  1. 育英の給付型
  2. 奨学の給付型
  3. 育英の貸与型
  4. 奨学の貸与型

まあ理想としては2の奨学の給付型が一番良かったんだと思いますが、結果的には戦時下でお金がなかったので育英の貸与型になり、その後、昭和18年に国家的育英事業として奨学金制度が成立しました。

しかし、年度中の予算がなかったために、上記の財団法人大日本育英会を設立し、初年度は文部省の予備資金から事業費を拠出し事業をスタートさせて、その次の昭和19年からは特殊法人大日本育英会として組織を再編成して、大蔵省から予算を計上することになりました。

また、育英の貸与型にした理由として、単にお金がなかったからと当時の政府が言えなかったので、政府が直接学生に学費を支給する給付制にしてしまうと子が親を尊敬しなくなり、家族主義(親が子供の教育の面倒をみろという思想)が崩壊しかねないという大義名分を持ち出して、貸与型を正当化したかったという政府の思惑もあります。

単純に学問の均等化を図るためだけに奨学金制度を設立することは、財政上困難なことだったと思いますが、戦時下でたまたま大東亜共栄圏設立のためとする大義名分が使えたことや、戦意高揚のための戦争遺児の救済、または海軍大将の山本五十六も奨学金を使って進学していたことなど、いろいろな事情や機会が重なったことでこの制度を誕生させることができたみたいです。

この組織は2004年に独立行政法人日本学生支援機構としてまたさらに生まれ変わり現在に至ります。

というわけで、これが日本の奨学金制度設立の大まかな流れです。

当初財政的な理由から奨学金は育英貸与型としてきたんだと思いますが、令和4年度の税収が71兆1374億円で過去最高だったことや少子化になってる現状から見ても、もうそろそろ奨学給付型のみの真の奨学金制度に移行できるんじゃないの?と思いますがどうなんでしょうね。

 

大学進学率の上昇と奨学金制度の崩壊

というわけで無事誕生できた日本の奨学金制度ですが、昭和59年(1984年)についに無利子貸与型の奨学金(第一種奨学金)とは別に、有利子貸与型の奨学金(第二種奨学金)が爆誕してしまいます!

これは大学進学率と授業料のダブル上昇に起因するもので、日本育英会側からすると「単純にみんなに貸せるお金がもうあまりないから、ある程度の学力で大学進学を目指す人は利子付きで借りてね」ってことだと思います。

確かにこうすれば、卒業後社会に送り出せちゃえば、貸した額以上のお金を回収できて次年度の予算を増やすことができ、より多くの優秀な学生に無利子貸与型の奨学金を貸せることに繋がるので、あまり学力の高くない学生に対しても奨学金貸与をする理由になりますね。

ただこれは時代がバブル景気で、就職しやすく、頑張って働けば給料も上がった時代だったから機能しただけで、バブル崩壊後の日本社会では、お金を稼げるかは個人の能力などの運に拠るところがさらに大きくなり、大学に進学したからといってみんながみんなお金を稼げるようになるわけではなくなってしまったので、この貸与型の奨学金のシステムそのものが崩壊しつつあるんだと思います。

まあそりゃ、そもそも育英思想が元になっていたから大学に行くのが当たり前になる世の中を想定してないからね。当時の人からしたら、「まさかこんなにみんな大学に行きたがるとは、、、」って感じでしょうね。

しかし、こういった事情からかわかりませんが、最近はこの現状を打破しようという動きがようやく出始めてきています!

 

異次元の少子化対策!

手始めに2020年4月から日本学生支援機構が低所得世帯に向けた給付型奨学金制度をようやく開始しました!

これはめちゃくちゃいいですね!本来の貧富の差によらない教育の機会の均等化のための思想に適した「奨学金オリジン」ともいうべき制度ですね!

まあ海外で奨学金と言ったら給付型なのが当たり前で、貸与型奨学金のことは普通学生ローン(ただの借金)と呼ばれますので、日本もようやくその感覚に近づきつつあるのかな?

さらに、2023年1月の念頭に岸田首相が「異次元の少子化対策」と銘打った政策の中に、奨学金のことも含まれていたことはみなさんご存知でしょうか?

その政策としては以下のものがあります。

①高等教育の就学支援制度の拡大

②出世払い型奨学金の導入

③減額返還制度の見直し

まず①の高等教育の就学支援制度の拡大についてですが、これは先ほど説明した現行の給付型奨学金の給付基準が緩和され、より多くの学生に給付型奨学金を配ることができるようになる制度です。

②の出世払い型奨学金とは、在学中は入学金や授業料を支払わず、卒業・終了後に所得やお子さんの数に応じて返済する額が変わる制度です。ただしこれは大学院修士課程が対象の2024年から実施される制度となっているので、普通に大学に行くだけの人にはあまり関係がないかもですね。

まあ正直、奨学金を貸与型で運営するのならば、すべてこの所得連動型の返済方式にすれば貸す側も借りる側もWINWINで、今起きている奨学金返済できないし貸してる側も裁判とかして取り立てなきゃいけない問題をかなりの部分解決できると思うのですが、、、なんでやらないんですかね?

③の減額返還制度の見直しは、単純に毎月の返済金額の減額をする制度の対象を拡大するというものです。

現行制度では、年収上限325万円の人はこの減額制度を使えば毎月の返済金額を1/2か1/3に変更できたのですが、新制度では年収上限が400万円になり、毎月の返済金額を2/3、1/2、1/3、1/4の4つから選べるようになります。

より詳しい内容を知りたい方は「あおばの奨学金・給付金チャンネル」さんがこちらの動画で解説しているので見ていただければと思います!

 

大学へ行く意味と授業料無償化へ

上記でも少し触れましたが、もう大学卒業=安定ではなくなってしまっているので、ある程度のレベルの大学にいけない人は無理して借金してまで大学に行くのはもはやリスクの方が大きいんじゃないのかなと思います。

今の教育システム自体が大学受験をさせて会社に就職させるための旧時代の遺物と化してしまっていて、子供達に大学に行けない=失敗みたいな思想を植えつけているのもよくないと思いますね。

その結果多くの学生が奨学金という名の借金をしてまで大学にいかなきゃ人生終了みたいに思い込んでしまっている現状があると思います。

それは2020年度の日本学生支援機構の出したデータから見ても明らかです。

昼間部の大学生の49.6%が奨学金を借りていて、その利用額の平均は324.3万円、返済額平均は月1万6880円で、完済までだいたい14.7年かかる計算なので23歳で働き始めた人は完済した頃には37歳くらいになってますね。

うーん。なんかコレジャナイ感がすごいです。

大学に行くのに37歳まで借金の返済しなきゃいけないって、何のために大学行ったのかよくわからなくなりますよね。しかも一方では借金しなくても大学に進学できる家庭もあるわけで、日本の家族主義の思想が現代にも色濃く残っている証拠ですね。

本当の意味での平等を目指すなら、もうそれは高等教育の授業料無償化しかないでしょう!

予算は限られていると思いますが、授業料無償化は実現可能だと思っています。

まず少子化で奨学金制度は逆年金状態になっているので、今返済されている奨学金の額はこれから借りる学生の奨学金の額に比べてどんどん大きくなっていくはずです。
給付型奨学金や異次元の少子化対策での奨学金制度の拡充の話が出てきたのは、政府として学生により多くの予算を回そうという気持ちがようやく出始めてきたことと、逆年金状態によって単純にお金が余ってきたからなんじゃないかなと思ってます。

そして、政府としても、奨学金の減額返済制度の基準緩和をすることで、今現在返済に苦しんでいる人や、学力はあまり高くないけど興味のある分野に進学してみたい学生に対して、貸与型の奨学金でも実質的に全額返済しなくていいシステムを構築しようとしているんだと思います。

以上のようなことから、徐々にではありますが実質的な高等教育の授業料無償化へ向けて確実に進んできているように感じるので、いずれは完全な奨学金制度(奨学給付型)=高等教育の無償化が実現できるんじゃないのかなと思っています。

まあ、完璧ではなくともそれに近い形はいけそうな気がします。

あと給付型の奨学金を導入した以上、貸与型の奨学金はそれはもう奨学金ではないので学生ローンという名前に変えた方がいいと思いますね。そうすれば無理して大学進学をしようと思う人が減ると思いますので。

あとはこちらの運にまつわる記事でも紹介しましたが、大学の役割を社会全体として再定義していった方がいいと思いますね。大学進学をお金を稼ぐための武装として利用することは、教育の本来の役割を失わせることに繋がってしまうと思います。

というわけで、今回は奨学金について考えてみました。

将来的にはヨーロッパみたいに日本もある程度は学費無料みたいになるといいですね!
僕は減額返済制度などを活用しながら、できるだけ奨学金の返済や完済を先延ばしにして、バイデン大統領がアメリカの学生ローンの一部を肩代わりしてくれたように、日本政府の誰かがそれと同じことをしてくれることを気長に待とうと思います!!!

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