クラッシェンの5つの仮説 〜続き〜
どうもみなさん!こにゃにゃちわんこそば🤪
クラッシャーでっすー!
この記事は前回の続きです!
前回の記事を読んでない方は、リンクを貼っておきますので、まずは前回の記事をぜひ読んで見てくださいね!
日本人が知るべき言語学習の常識 Language Acquisition Part 1
それでは第3の仮説です!早速やっていきまっしょい!
③The Monitor Hypothesis (モニターの仮説)
3つ目の仮説はThe Monitor Hypothesis (モニターの仮説)!
この仮説の説明に入る前に、まず前提として第1の仮説の説明の中で、言語学習には「言語を獲得する方法」と「言語を学習する方法」の2つの方法があるというお話をしたと思います。
そして実は「獲得された言語」と、「学習された言語」には機能的に違いがあるということが言語学界では様々な研究によって言われていて、
なんと、言語はほぼ「獲得された言語」の能力によって生み出されると言われています。
つまり私たちが普通に日本語をなんにも意識せずに話せているのは、私たちが日本語を獲得してきたからということですね。
一方、「学習された言語の機能」は何なのかというと、間違い探しです!
どういうことなのかというと、、、
例えば、あなたが母語ではない言語で何かを言おうとしているとします。
獲得された言語の機能によって、あなたの頭の中にある文章が無意識的に浮かんできます。そして、あなたがその文章を言おうとしたまさにその瞬間、あなたは頭の中でその文章を学習された言語の機能(文法の知識や発音のルールなど)を使って、ざっと見返して、よく確認して、間違いを修正してからその文章を発言することができますよね。
これが学習された言語が持つ唯一の機能です!そしてそれが別名モニターの機能(またはエディターの機能)と呼ばれています。
学習された言語の機能はこれだけです!しかもこの機能を使うのかはもちろん全くの任意です!笑
もっというと「獲得された言語の機能」で、発言した後に、無意識的にまたは感覚的にその文章を直すこともできてしまうので、このモニターの機能が最も役立つのはある3つの条件が揃った時だけと言われています。
その条件とは…
- 使う言語のルールを知っている
うん。まあそりゃそうだよねと。ただ、そもそも言語学者だってある言語のルールすべてを知ってるわけじゃないとクラッシェンも言っていますし、どんなに頭のいい人でも全ルールを知って、しかもそれを使いこなすというのはあまりにも非現実的ですよね。 - 常に修正をする意識を持てる
これは難易度が高いですね。話したいことの内容とか意味を考えて、さらに間違いを常に探す意識を持たなきゃいけないなんて、僕なら絶対頭がパンクしますね。 - 時間がある時
もう単純に普通に会話してる時って、そんなにいちいち考えてる時間ないですよね。モニターを常に使えるのは一部の言語学者のうちのさらに精鋭中の精鋭だけらしいです。しかもその人たちも所々でしか使わないらしいです。笑
というわけでクラッシェンがモニターの機能が使えるのは文法のテストの時だけ!と冗談を言うくらいこの機能は使うタイミングがないです。
あ、でも何かメール打つ時とかは結構使えるかも、、、いや、今やAIが勝手に直してくれるからなぁ、、、いよいよ使うタイミングないな。。。
ただ、獲得された言語が言語能力の100%を占めるわけではないらしいので(スペルとか一部の文法のルールとか)、言語を学習しないほうがいいとは言えないけど、その効果は限定的だよってことですね。
これが第1の仮説で文法は勉強するなと言った理由です。だって文法を勉強してもモニターの役にしかならないんだもん。
ヘミングウェイの詩で、「文法を学ぶ前はイタリア語って簡単だなぁって思ってたのに、文法を勉強して以来、間違いを恐れるようになってイタリア語が急に難しく感じた。」と言う一説があるくらいです。
みなさんも文法の勉強は片側がものっすごい切れ味になってる諸刃の剣なので気をつけましょう。
④The Input (Comprehension) Hypothesis (インプット仮説)
第4の仮説はThe Input (Comprehension) Hypothesis (インプット仮説)!
この仮説が個人的には一番大事かなと思ってます。
これは第1の仮説ですでに少しだけ説明してしまっていますが、どうやったら言語を獲得できるのかと言うお話です。(言語を獲得できるとその言語能力を飛躍的に上昇させることができると言われています。)
Part1で言ったことの繰り返しにはなりますが…
言語が獲得されるのは、あなたがあるメッセージを受け取り、そのメッセージを理解できた時です!
つまり本読んだりとか、映画を見てキャラクターが話してるのを聞いたりして、あるメッセージを受け取り(インプットし)、それを理解できたとき、言語が獲得されたと判断できるというわけです。
専門用語ではこのメッセージのことを。Comprehensible Input (理解可能なインプット)と言います。
ですので、言語学習というのはこの理解可能なインプットをしてさえいればいい!というか、言語獲得(英語ではLanguage Acquisitionと言います)にはこの方法しかないと言われています。
言語学者たちはどうやったら言語を獲得できるのかを長年研究してきたそうですが、ようやくこの答えにたどり着いたみたいです。
なので言語学習ってやることは実はめっちゃシンプルで、めっちゃ簡単なことだったんですよね!
ただここで、以下のような疑問が浮かんでくる人がいるかと思います。
言語を獲得するには理解可能なインプットをすればいいというのはわかった。でもたとえ今の自分のレベルで理解できるインプットをし続けたとしても、それはただの現状維持だろ?
どうやって次のレベルへステップアップすればいいんだい?
いい質問ですねぇ(池上彰風)
この疑問に回答するのには、第2の仮説「自然な獲得順序の仮説」が関わってきますが、結論から先に言うと、、、
理解可能なインプットをやり続けるだけで、あなたのレベルは勝手に上がっていきます!
それはどういうことなのかと言うと、まず第2の仮説のときに、言語の獲得される順序は決まっているというお話はしたと思います。
シンプルに言うと、ルール1、ルール2、ルール3、ルール4…と言った具合で順々に言語は獲得されていきます。
でもどうやってルール1からルール2に移行できるんでしょうか?
その答えは…「i+1」です!
…は?とみんな思ったと思います。
これはなんなのかと言うと、まずさっきの疑問は「どうやって次のレベルにステップアップできるのか?」ということでしたよね。
つまり言い換えると、どうやって「i(私)」(ルール1)から次の段階「i+1」(ルール2)に移行できるのかということですよね。
つまりルール1からルール2に移行するには、「i+1」が入っているインプットを理解すればいいんです!
いや、「i」しか知らない状態で「i+1」は理解できんじゃろ…
わかります。
でもおじいちゃん、それは本当にそうでしょうか?
あなたはもう何十年もこの世界に生きてきて、もういろいろなことをすでに経験済みでご存知なんじゃないですか?それにきっといろいろな修羅場もくぐり抜けてきたはずですよね?
つまりあなたにはもう「i+1」を理解できる準備がすでに整っているのです。これは言い換えれば知っている知識などから「Context (文脈)」を読み取る力があれば「i+1」を理解することは十分可能ということなんです!
または、初心者の人にとっては絵や写真を使ったり、体の動きなどを使えば「i+1」を理解することはより簡単になると思います。(体の動きを使う方法は英語ではTotal Physical Response 略してTPRメソッドと呼ばれ、子供の英会話教室などでよく使われる手法です)
というわけで、理解可能なインプットの1種「i+1」は上記の理由から勝手に現れて勝手に理解していけるので、あなたはメッセージを理解しようとただ無心に、己の我を捨てて、無我の境地で頑張ればオッケーということです!
言語獲得(Language Acquisition)には2つの大きな特徴があるとクラッシェンは話します。
- 頑張んなくていい
なんか別に一生懸命やる必要はなく、ただメッセージを理解しようとすればいい - 自動的
感情バリアー(5つ目の仮説で説明します)がない状態で、理解可能なインプットが与えられれば勝手に起きる。なので本人の意思とは関係なく、それに抗うすべはない。
言語獲得の理屈は若干面倒だったかもしれませんが、やることはめっちゃ単純で、ある意味楽です。
あるメッセージが学校の生徒さんにとって面白ければ面白いほど、その生徒さんたちはそのメッセージをより興味を持って受け取ってくれます。(面白いことは言語獲得の上でかなり重要だという研究があるみたいです)
なので先生のやることはむしろ英語を教えるのではなく、面白いお話をどっかから見つけてくるってことでしょうか?笑
でもそれが今後の日本の英語教育には絶対に必要になってくると僕は思います!
なんかまとめに入っていますが、まだ続きます!!でもパートは分けます!!
次回 余談「英語話すのは練習にはならない?」、「第5の仮説、The Affective Filter Hypothesis (感情バリアーの仮説)」!の2本!
次回も絶対見てくれよな!