人口減少で起こる「ほぼ確定」未来5選 〜続き〜
こんちわ。KAZUMACHIでござい。
それでは、早速続きをやって行きましょう!
③ 2043年、高齢者人口4000万人でピークに!
2023年に「国立社会保障・人口問題研究所(社人研)」が発表した「日本の将来推計人口」によると、2043年に「高齢者(65歳以上)人口が3953万人でピークを迎える」ことがわかりました。(前回調査では2042年の予定でした。)
これは、2043年の日本の総人口が約1億1050万人ほどの予想になっているので、国民の3人に1人が高齢者になるということを意味します。
人口の最大ボリュームゾーンである「団塊の世代」の次にボリュームの多い、「団塊ジュニア世代(1971〜1974年生まれ)」がすべて高齢者になっているため、この年が高齢者人口のピークになります。その後は、高齢者数もこの年を境に減少していきます。
「未来の年表」の著者である河合雅司さんは、この2043年を「日本最大のピンチ」だと考えています。
というのも、こちらをご覧ください。
※出典:「未来の年表」河合雅司 2017年 (このデータは2017年のデータを元に作成されていますが、2023年のデータとだいたい同じような数値になっていたので、参考にしていただいて問題ないと思います。)
表を見ていただけると大体わかると思いますが、2043年に高齢者人口がピークになると同時に、15歳〜64歳までのいわゆる「労働生産年齢人口」はかなり減って、2023年の社人研のデータだと、2025年の7300万人から2043年には5970万人になって、およそ1300万人ほど減る推計になっています。
つまり、高齢者人口の増加で、社会保障費が膨れ上がり、高齢者向けサービスの絶対量も増やさなければいけなくなるのに、そのための人出が足りない状況になる可能性が高いです。
第3次ベビーブームが、団塊ジュニア世代に就職氷河期が直撃したため起こらず、そのまま団塊ジュニア世代が高齢者に突入するため、このような状況になったと考えられます。
そしてさらに、このことはもう一つ大きな問題を孕んでいて、それは、僕のような生活保護受給者も急増するんじゃないかという懸念があることです。
就職氷河期世代で正社員になれず冷遇されてきた人々は、年金収入が低く生活が困窮する可能性が高まります。
これは特に、非正規雇用での就労が多かった世代は、年金加入期間が短かったり、未納期間があったりする傾向があるので、老後の生活が不安定になる可能性が上がるためです。
しかし、正社員になれなかったのは彼らのせいではなく、時代ガチャが下振れただけなので、年金だけでは足りない人は、みんな生活保護をもらいながら、悠々自適に生活してもらうしかないですね。
一応、就職氷河期世代とは、1993年から2004年ごろにかけて就職活動を行った世代のことで、その人口は推計で約2000万人いるとされています。
もし、少なく見積もって、このうちの5%が生活保護を受給した場合でも、100万人が新たに生活保護受給者になることになります。
現在の生活保護受給者200万人が、そのまま2043年まで推移すると仮定した場合、その数は300万人に増えます。
現在の生活保護費は年間約4兆円なので、単純計算で50%の増額では6兆円です。10%の200万人増の場合は100%増の8兆円、20%の400万人増では200%増で12兆円です。
僕が調べた限りだと、2050年までに生活保護費対GDP比は、2014年の0.7%から1%に上昇するという試算があり、最悪でも1.8%上昇くらいらしいので、結論としては「財政の持続可能性は確保される」となっていました。
※出典:「日本における生活保護費の将来推計」(2023年) 作者 米田泰隆
これは毎回言っていて繰り返しになりますけど、日本には家計の金融資産だけでも2100兆円ありますし、これに国や企業の金融資産を合わせた国全体の金融資産は9700兆円、対外純資産は418兆円、外貨準備も190兆円あるので、そういう意味では、日本の財政はお金の面では大丈夫だと思います。
ですので、やはり、人やモノ、サービスを社会にどう循環させるのかってところをみんなで考えていかなければいけないんだとは思いますが、ここで、「高齢化は地方ほど深刻」というよくある高齢化社会への問題意識のひとつが、むしろミスリードになって、高齢化問題を矮小化する可能性があるという話を最後に少しさせてください。
まずは、こちらをご覧ください。
※出典:社人研「日本の地域別将来推計人口」より
実は、確かに高齢者の割合(高齢化率)で見れば、人口減少が大きい地方ほどその割合は大きくなりますが(例:2050年の高齢化率は、青森県48.4%に対して、東京都は29.6%)、実は高齢者の実数で見た場合、そのほとんどは減るか、微増にとどまるのです。
しかし逆に、東京などの大都市では、高齢化率は地方に比べたら低いですが、その実数値はかなり大きくなる予想になっていて、その数は2020年度比で、東京だと2050年に高齢者数が約100万人増の425万人になります。
要するに、大都市部では総人口はあまり減らず、高齢者の実数だけが増えていきます。対して地方では、総人口は減少するけど、高齢者の実数はさほど増えるわけではないってことです。
なので、地域ごとに問題は多様で、大都市だからと言って、高齢化の問題が地方ほど深刻ではない訳ではなく、むしろ状況によっては深刻になる可能性があるのです。
つまりは、少子高齢化は結局のところ、みんなで取り組まなければならなくなる問題というわけです。
④ 2050年(その1)、全国の自治体の約4割が消滅危機に!
2023年に社人研が「日本の将来推計人口」に合わせて発表した「日本の地域別将来推計人口」に基づいて、「人口戦略会議」が2024年の報告書の中で、「全国の自治体のおよそ4割が消滅の危機に陥る」と公表しました。
社人研は推計期間を2020年から2050年の5年ごとの30年間で、全国1883の市区町村などの地域と、福島県の福島第一原発事故で大きな被害を受けた13の複数地域をまとめた「浜通り地域」を入れた、全1884地域を対象地域として、将来推計人口の推計値を出しています。
人口戦略会議は、この1884地域のうちの744自治体を「消滅可能性自治体」としていて、これは全国1729自治体全体の43%にあたります。
「消滅可能性自治体」とは、20歳〜39歳の若年女性人口の減少率が、上記の30年間で50%以上減少する地域のことで、人口戦略会議が独自に定義した言葉です。
そして、この4割という数字は、実は人口戦略会議の前身団体「日本創成会議」が出した数字よりも改善しています。2014年の前回調査のデータでは、「2040年までに約5割の自治体が消滅可能性自治体になる」とされていました。「未来の年表」(2017年)の中では、当然ながら、こちらの方のデータが紹介されています。
ちなみに、朝日新聞が “「全国消滅可能性自治体」マップ” を作成していて、これが見やすくてわかりやすいので、気になる人はチェックしてみてください。
人口戦略会議は「消滅可能性自治体」だけでなく、若年女性人口減少率20%未満の自治体を「持続可能性自治体」(65で全体の4%)、若年女性人口を他地域からの人口流入に依存している自治体を「ブラックホール型自治体」(25で全体の1%)として定義しています。
若年女性人口の減少率が20%未満の場合は、100年後も若年女性が5割近く残存しており、持続可能性が高いと考えられているらしいです。
そして、興味深いのは、社人研によると、2040年から2045年にかけて、全ての都道府県で人口減少する予定になっているのですが、江東区や中央区、港区などの一部地域では、若年女性人口が2050年までに増加する推計になっていて、そのような「若年女性人口が増加する自治体は全て、2050年までに人口増加する推計になっている」ということです。
全国消滅可能性自治体マップで、ほぼ全部の地域が青とかうすい青みたいになっている中、空気を読まずに黄色くなっているところがあるので、ぜひ探してみてください。
⑤ 2050年(その2)、世界的な食料争奪戦に巻き込まれる!
最後は、2050年に世界的な食料争奪戦に巻き込まれるという「ほぼ確定未来」です。
先ほど、2043年には労働生産年齢人口が2025年よりも1300万人減って、5970万人になるという話をしました。これにより、今後さらに、あらゆる業種で人手不足になる可能性が高まります。
そして、日本の安全保障を考える上で一番大切なのは「食料」。
しかし、ただでさえ、労働生産年齢人口が激減して人手不足なのに、その食料を作る人々=農業就業者数は、2000年の約240万人から2024年には約111万人になって(推定値)、この四半世紀でだいたい半減しました。(ちなみに1990年には482万人いました。)
また、この農業就業者の高齢化も深刻です。
農林水産省が5年ごとに行う農林業等の調査「農林センサス」によると、2024年の農業従事者の平均年齢は69.2歳(推定値)で、上記の約111万人の農業従事者のうち、65歳以上の高齢者の割合は71.7%の約80万人でした。
さらには、2023年の7月時点の耕地面積は429.7万haで、前年に比べて2万8000ha減少しました。
※出典:農林水産省「耕地面積」より
昭和36年(1961年)には耕地面積は608.6万haあったので、62年間で約180万haの土地が、荒廃農地や耕作放棄地などになったということになります。
その影響で、2023年産の夏野菜と春野菜はそれぞれ、前年比2%(3万4000トン)減の184万3000トン、同4%(8万3000トン)減の216万トンでした。
このように、農業就業者の高齢化と人手不足により、耕地面積は年々減少していて、それによって収穫量が減ってしまいます。
しかし、そもそもの日本の食料自給率はカロリーベースで38%、生産額ベースで66%となっており、他国に比べると高いとは言えません。
※出典:「知るから始まる『食料自給率』の話」農水省より
カロリーベースとは、1日の摂取カロリーのうちの国内生産食品の割合のことで、生産額ベースとは国内で消費された食品のうちの国内生産食品の割合を示した数字で、国際的には生産額ベースの食料自給率をメインの自給率としている国が多いみたいです。
1965年の日本の食料自給率は、カロリーベースで73%、生産額ベースでは86%だったらしいので、現在に至るまで、その多くを輸入に頼るようになったということがわかります。(国としては、2030年度までに、カロリーベースで45%、生産額ベースで75%を目指しているみたいです。)
ちなみに、東京都の食料自給率はカロリーベースで0.47%なので、首都直下が起こってもし物流が長期間止まった場合は、消滅待った無し!
なので、日本の食料事情は普通に結構やばいです。
まあというわけで、なんで2050年に食料争奪戦になるのかということなんですが、
まず、国連の発表によると、世界の総人口が2050年に97億人に達する推計になっていて、さらに、2019年に農水省が発表した「2050年の世界の食料需要見通し」によると、世界の地球温暖化対策に追加的努力がなされないシナリオを採用した場合(世界人口87億人シナリオ)でも、2050年の世界の食料需用量は2010年比で1.7倍になると予想しているためです。
食料自給率を改善しない限り、世界の総人口の増加と、気候変動の影響による、世界的な食料不足の可能性を考えたときに、2050年にだいぶやばい状況に日本が置かれる可能性は高そうです。
よし!明日から「かず農園」のスタートだ!
⑥ おまけ、もう起きたこと!
2024年、団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者になり、社会保障費がめっちゃ膨らむ。
2021年、団塊ジュニア世代が50代に突入し、介護離職が増える。
2020年、女性の過半数が50歳以上になり、出産可能な女性数が大きく減り始める。
2019年、KAZUMACHIがカナダから帰国する。
2018年、18歳人口が大きく減り始め、国立大学にも倒産の懸念が出てくる。
田舎で暮らそう
というわけで、以上が人口減少で起こる「ほぼ確定」未来5選でした。
「ほぼ確定」という言葉を使った理由としては、本で書かれている推計値が、現在においてまあまあ外れているものが多かったからです。
外れていると言っても5割が4割とか、3戸に1戸が5戸に1戸とか、そう言ったレベルでの話なので、当初は「確定未来」としてたのですが、「ほぼ確定」くらいがちょうどいいかなと思い、途中で方向転換しました。
これ以外でも、人口減少によって起こる問題は多岐にわたります。
例えば、死亡者数の増加による火葬場の不足、IT人材の不足による社会基盤の混乱、献血量の不足による手術や治療への影響などなどです。
まあ、このようにして、人口減少問題の点においても、日本は縮小して行くことが確定なので、賢く縮むことが必要となってきます。
「未来の年表」の最後で、著者の河合雅司さんは「日本を救う10の処方箋」と題して、この少子高齢化問題を打開する10個の提言をしています。
それに関しては長くなっちゃうので、また機会があったら詳しく紹介したいなとは思いますが、少し紹介すると、その中の一つに「二地域居住」というものがあり、養老孟司と同じようなことを言っていました。
東京都杉並区と静岡県南伊豆町、東京都豊島区と埼玉県秩父市などは、「二地域居住」制度でもう交流できるようになっているみたいですね。
うん。将来は田舎で暮らそう。
というわけで今回は以上です。
おわり